安全と危機管理・健康管理安全な留学と海外生活を送るために
これまでに、海外で犯罪やトラブルに巻き込まれるケースが少なからず発生しています。その中には、不注意によって起こったもの、または未然に防ぐことができたものも含まれています。有意義な海外生活を送るためにも、留学を計画する際は「安全は全てに優先する」との意識をもって準備を進めてください。留学の目的を忘れることなく、自らを律しつつ、充実した留学生活を送ってください。
1. 事件・事故・トラブルの種類
留学先では、多種多様の事件・事故・トラブルが発生しています。留学先の国・地域は、日本と比べられないほど危険な場所もあります。海外留学中の様々なリスクについての理解を深めるとともに、予防策を立てるようにしてください。以下は過去に大学生が留学先で実際に遭遇した事件・事故・トラブルです。
- 事件・事故
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置き引き、スリ、ひったくり、強盗、詐欺、スキミング(キャッシュカード)、交通事故
- トラブル
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パスポート紛失、フライトキャンセル(悪天候)、滞在先備品破損、携行品破損・紛失、セクハラ、喧嘩、いやがらせ
- 災害・人災
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自然災害(台風等)、政変(暴動)
- 病気
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歯痛、頭痛、発熱、風邪、腹痛、胃痛、感染症、骨折、アレルギー、メンタルヘルス不調
2. 安全・危機管理対策
安全・危機管理面で万全を期すためには、多くの時間を要するため、早期に、また、計画的に渡航準備を進めていくことを心掛けてください。以下の各項目を確認のうえ、慎重に留学準備を進めてください。
- 渡航前
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- 健康診断を受診する
- 病気を治療する(歯科治療を含む)
- 予防接種を受ける
厚生労働省(FORTH)ホームページを確認する - パスポート(ビザ)を取得する
- 危機管理研修に参加する
- 渡航先安全情報を収集する
- 在留届/たびレジを登録する
- 海外旅行保険に加入する
- 緊急連絡先を作成する(現地大学の連絡先等)
- 危機管理サービスに加入する
- 渡航先の政治・社会・文化・宗教などを理解する
- 留学に備えて注意すべきことについて、外務省海外安全ホームページも参照してください。
- 渡航中
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- 安否(所在)を明らかにする
- 心身の健康を管理する
- 所持品/貴重品を管理する
- 渡航先安全情報を継続的に収集する
- 緊急連絡先を常時携行する
- 自動車/バイクは運転しない(厳禁)
- 単独行動を避ける
- 夜間や危険な地域の出歩きは控える
- スカイダイビングなど危険を伴うスポーツをしない(保険対象外)
- 薬物(ドラッグ)に手を出さない
- その他リスクを伴う行動を自粛する
- 渡航後
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- 健康/体調を管理する(感染症等罹患の有無と経過観察)
- 大学に帰国報告する
3. 健康管理
各プログラムへの参加は、心身ともに健康状態が良好で、自ら責任をもって健康を管理できることが前提です。留学を検討する際、以下の項目について確認しておいてください。
- 渡航前
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- 自己の健康状態が良好であることを確認してください。
- 毎年度実施される大学の定期健康診断を受けてください(無料)。異常があれば、医療機関受診などの対応をしておいてください。定期健康診断を未受診の場合は、外部の医療機関で受け(有料)、結果を保健館に提出してください。
- 定期健康診断では、すべての異常を見つけることはできません。治療中の病気だけでなく、心や身体の健康面で心配なことがあれば、主治医等に留学が可能であることを確認し、指導を受け、必要に応じて英文紹介状を準備してください。なお、一般的には海外旅行保険では、持病の治療や歯科治療はカバーされません。
- 参加決定後、「健康状態等申告書」を提出してください。
- 留学先によって必要な予防接種は、早めに受けてください(時間がかかります)。厚生労働省検疫所(FORTH)のホームページが参考になります。
- 留学に備えて注意すべきことについて、厚生労働省検疫所(FORTH)のホームページ、kwic(保健館)も参照してください。
- 渡航中
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- 治療に必要な医薬品や主治医の英文紹介状の持参、留学先での受診など、自らの責任で健康管理を行ってください。
- 急病時の受診などに関し、危機管理サービスからアドバイスを受けることも可能です。
- 健康状態が悪化した場合は、すみやかに現地大学及び関学に報告し、その指導に従うようにしてください。
4. 異文化理解と適応
異文化の中では、たくさんの発見があります。自分とは異なるものを尊重すること、自分だけの価値観(ものさし)で判断するのではなく、広く大きな視点を持つことで新しい世界が広がります。
一方、異文化にうまく適応できずに留学生活に苦しむ学生も少なからずいます。カルチャー・ショックを受けることは自然なことですので、焦らず、ゆっくり新しい文化に適応するよう努めてください。
5. 生活環境における問題
異国での生活は、貴重な留学経験の一部です。ホストファミリーやルームメイトとのコミュニケーションは、時には楽しく、時には難しいものです。生活をするなかで問題が生じた時は、自分一人で思い悩まないで、積極的に対話するようにしてください。どうしても自分で問題を解決できない時は、留学先大学の担当者等と相談するなどして、問題を放置することのないようにしてください。
- ホームステイ
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ホームステイ先では「お客様」ではなく、家族の一員として生活することになりますので、その家のルールに従って生活する必要があります。例えば、水不足の地域では「シャワーは5分以内」という決まりがあります。また、食べ物の好みが違うかもしれません。いつでも、基本的なマナーとして、感謝の気持ちを言葉で伝えることを忘れないようにしましょう。
- 寮
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寮では学生が共同生活し、身の周りの世話は自らするのが基本です。気心の知れた友人関係を築くことができますが、性格や生活リズムの不一致等でルームメイトとうまくいかないケースも見られます。また、ホームステイと比べた場合、コミュニケーションをとる機会が少なくなりがちです。自ら積極的に行動しましょう。
6. 海外旅行傷害保険の加入(必須)
プログラムに参加する学生は、本学が指定する海外旅行傷害保険(一部のプログラムを除く)及び旅行事故対策費用保険※(全プログラム参加者対象)に加入します。留学先の大学によっては、これら保険に加入していても現地での健康保険や医療保険への加入を義務付けられることがあります。
※旅行事故対策費用保険とは:国際教育・協力プログラム参加者が、海外に滞在中に事故・病気等になり、事故対応費用や救援者費用の支出を余儀なくされた場合に補償する保険です。本学で一括加入手続きを行いますので、プログラム参加者が個人で加入手続きを行う必要はありません。
海外旅行傷害保険(例)
補償内容 | 保険金額 |
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傷害死亡 | 1,000万円 |
傷害後遺障害 | 3,000万円 |
治療・救援費用 | 無制限 |
疾病応急治療・救援費用 | 300万円 |
個人賠償責任 | 1億円 |
携行品損害 | 10万円 |
航空機寄託手荷物遅延 | 10万円 |
航空機遅延 | 2万円 |
補償内容は渡航期間等によって異なります。また、毎年変更になる場合があります。
7. 危機管理サービスの加入(必須)
留学プログラムに参加する全ての学生に対し、本学が指定する危機管理サービスへの加入が義務付けられています(一部のプログラムを除く)。危機管理サービス加入は、昨今の世界情勢を踏まえ、また、予期せぬ事態に備え、セーフティネットを重層化することを目的としています。事件・事故・トラブル発生の際には、本学と危機管理会社が緊密に連携・情報共有しながら、対応にあたります。また、急病の場合に医療機関受診や保険請求に関するアドバイスを受けることも可能です。海外での生活をサポートするために、24時間365日対応の緊急連絡先も設置しています。
8. 関西学院大学の危機管理の取り組み
本学では、留学プログラム実施にあたり、安全を最優先しています。学生を安全に海外に派遣するための主な危機管理の取り組みは以下のとおりです。
- 留学参加者に対する危機管理研修の実施
- 日常の安全情報収集と提供
- 世界情勢を踏まえた留学プログラムの実施・中止・延期・継続・途中帰国の判断
- 日本大使館等在外公館との緊密な連絡体制の構築
- 危機管理会社を含む専門機関との連携
- 緊急対策本部の設置(危機発生時に学長室のもとに設置)