●就活・卒論か?自分のワクワクを信じるか?
私が国連ユースボランティアに応募したのは4年生の春。卒業も近いというのに進路はまだ未定。かといって、就活も卒論も「直感的に」やりたくないと思っていました。心がやりたくないと思っているのに、就活や卒論を進めるのが嫌だったのでしょう。周りのみんなが卒業に向けて行動しているなか、焦燥感に苦しめられる毎日を過ごしていました。
●自分のやりたいことを叶える「何か」がわからない
就活も卒論もしたくない私でしたが、漠然とやってみたいと思っていたことが3つありました。それは以下の3つです(1)広告のデザインを自分で作ること(2)教育に関わること(3)海外の文化を知ること。しかし、やりたいことのイメージがありながらも、どう行動に移せばいいのかわからない。それが当時の一番の悩みでした。
●国連ユースボランティアとの「偶然」の出会い
焦りを抱えたまま、大学のホームページを眺めていた時のこと。たまたま目に入ったのが、国連ユースボランティアのお知らせでした。海外の国連でのボランティア活動。しかも、デザイン系の広報の活動。休学の必要なしで単位がもらえる。国連ユースボランティアは当時の自分がやりたかったことが、まるでパッケージプランのように詰まった魅力的なプログラムでした。そんな訳で人生の岐路にたった大学4年の春。就活や卒論という「標準ルート」の道には進まず、詳細はわからないけど「なんだか面白そうという、ワクワクした気持ち」を信じて国連ユースボランティアの応募を決めました。
●緊張と混乱のエチオピア情勢
当時のエチオピアでは多数の死者が出るような暴動やデモが勃発。派遣直後にエチオピア政府から非常事態宣言が発令され、首都を含む国内全土が緊張状態に...。常に自分の行動には注意していましたが、暴動に巻き込まれてしまうかも しれないという緊張と不安を抱えていました。
●「何をどうしたらいいのか」を自分で決めて行動する
派遣前は上司から指示をもらって活動を進めるというイメージがありましたが、実際の活動の進め方は自分の想像とは全く別。活動中は常に「何を、どうしたらいいのか」を自分で考え行動することを求められていました。しかし、自分のやりたいことをやると決めた5か月。私が取り組んだのは以下の2つです。
【1】「SNS映えを意識した国連広報?!」
私のメインの活動の一つは所属先のUNVとSDGsに関する広報。将来、ボランティアとして活動する可能性のある若い世代はSNSを多用するため、彼らに向けた ビジュアル重視の広報活動を行いました。当時、明治大学の国際日本学部では、アニメや漫画など日本のポップカルチャーなどを学び、ゼミでは海外広告デザインを専攻していた私。日本のポップカルチャーと国連の広報を結びつけたいと思い、現地オフィスのキャラクターなどをデザインしました。UNDPや他の国連機関の職員の方々からも、とても好評でイベントの広報やニュースレターにたびたび登場させてもらいました。
【2】現地の子どもたちと「未来の自分✕ボランティア」を考えるワークショップ
インターナショナルボランティアデーの企画、というのも私の活動の主軸でした。非常事態宣言の中、開催日の一週間前に現地の学校で行うことが決まり、さまざまな困難を乗り越え成功をおさめることができました。私は子どもたちへのワークショップを開催。子どもたちに将来の夢と、未来の自分がボランティアとしてどんな社会を作って行きたいか考えて発表してもらいました。活動を通して現地の子どもたちと関わることが本当に楽しくて...。教育の現場で働こうと自分の進むことを決めたきっかけとなりました。
非常事態宣言による国連の活動自粛というハンデもありましたが、所属先のUNVの上司はもちろん、現地で知り合った方々の協力を得て二つのプロジェクトを達成することができました。
私が国連ユースボランティアに参加してよかったなと思うことがあります。
それは活動を通して、人生のロールモデルとなる上司と出会えたことでした。
●自分の情熱を信じろ!
私が活動中に悩む度に、上司の方がかけてくれた言葉があります。それは「自分の情熱を信じろ!」ということ。派遣前の私は仕事において効率やスピード感が一番大事だと思っていました。しかし、実際の現場では私の上司に限らず、仕事における原動力は「情熱」であると感じました。当時は将来の進路に迷っていた私ですが、自分の情熱を信じて、大学の専攻とは違うけれど幼児教育の仕事につくことを決めました。
●その瞬間のワクワクを行動にうつすこと
大きな目標はないです。ですが、今やりたいことははっきりしています。それは「クリエイティブな活動を続けること」と「幼児教育の知識と経験を深めること」です。
そのために、仕事をしながら通信制の芸術大学に通ったり、幼児教育に関する資格習得に励んでいます。
国連や国際協力の道を考えていないわけではありません。が、国際協力の場で求められるのは「即戦力」と「経験」。一緒に活動していた国連職員の方々も、大学院を経て民間企業や行政機関などで経験を積んでから国連の道に進んだという方が多かったです。
●目的を立てると過程をたのしめなくなる
私は目標を立てると「自分の成功する道はこれしかないんだ!」と必死になってしまったり、目標を達成する過程を楽しめないタイプなので、大きな目標を立てないようにしています。
今後は国際協力の道に進むことを視野に入れながらも、自分の好きなことをしながらその瞬間、瞬間のワクワクや楽しい気持ちをなにより大事にしています。
●「何か行動したいと思いながらも、自分に自信が持てない」あの頃の自分へ
応募を考えている学生のみなさんは、家族から、周りの友人から、面接官から「どうして国連ユースボランティアに応募するの?」と聞かれることでしょう。その質問にはっきり理由を答えられる方もいらっしゃれば、言葉が詰まってしまう方もいらっしゃると思います。学生時代の私はどうだったかというと、なにをしたいかと聞かれて、いつも言葉が詰まってしまうような人間でした。
●心が枯れた日々を超えて
私が海外に行きたいなと思い始めたのは大学1年の秋くらいから。当時から海外のアートや教育の分野に興味があり、留学を希望していました。しかし「明確な目的がないなら、お金と時間が無駄になるわよ」という留学アドバイザーの方の一言をきっかけにその時は留学を諦めてしまいました。
それからしばらくは、やってみたいと思ったことをためらってしまう日々がつづきました。その時期はとても辛くて、自分の情熱を行動にうつせないと心がどんどん枯れていくということを知りました。
●行動のきっかけは「へぇ!面白そう」でいいじゃない?
留学の夢を一旦諦めた私が、大学年4年の春、改めて人生の岐路にたち「自分のしたいこと、ワクワクすることをやろう」と飛び込んだのが国連ユースボランティアでした。応募時の「へえ!おもしろそう」という小さなワクワクに導かれ、アフリカの大地や国連職員の仲間たちとの出会い、そして自分の人生を切り開くことができました。
●「自分の情熱を信じて進もう!」
皆さんへのメッセージはただ一つ。その先に何があるか結果が見えなくても、理由がうまく言葉にできなくても「自分の情熱を信じてほしい」ということ。活動を通して出会った人たちが私に灯してくれた情熱の炎を、今度は私から皆さんへエールの言葉として送りたいと思います。