大きな理由は、人の幸せに貢献する具体的な方法を模索するためです。私は、高校生の頃、無意識的に“助ける側”と“助けられる側”に分けてしまっている一方向的な従来の社会貢献ではなく、同じ目線の双方向的アプローチである“社会起業(ビジネスを通して持続的に社会課題解決を目指す手法)”に興味を持ち、人間福祉学部社会起業学科に進学しました。常に根底にある夢は“全ての人が経済的・精神的にも満たされ、幸せだと心から感じることのできる社会・世界で暮らすこと”であり、国連に代表される国際協力組織も夢への1つの選択肢でした。
正直、選考を受ける少し前まで、コミュニティの近くで活動することができる国際社会貢献活動(関学のもうひとつの国際ボランティアプログラム)への参加を希望していました。それは当時の私の興味・関心が草の根活動に向いていたこと、そして、私に国連で働く能力や自信がないと感じていたからでした。しかし、国際ボランティア担当教授に“能力・自信がないという理由で挑戦しないのはもったいない。たとえ自分の興味と少し違っていたとしても、異なる環境に飛び込むことで新しい自分に出会うことができるんじゃない?”というアドバイスを頂きました。その言葉をきっかけに、社会起業とは異なるアプローチをとる“国連”の存在意義について学びたいと、参加を決めました。
特に印象に残っていることは、12月初旬にプロジェクトを行っている村へ訪れたことです。私はナレッジ・マネジメントアシスタントとして、プロジェクト活動を通して得た経験や学びを文書にまとめるサポートをするため、オフィスでパソコンに向き合い続ける日々でした。
しかし、国連事務次長兼 UNDP(国連開発計画) 副総裁であるUsha Rao-Monariさんがマレーシアに視察に来られた際に、初めてフィールドに赴くことができました。終了間近のプロジェクト成果を視察するサイトビジット当日、仲の良い同僚の誘いを受けて、飛び込みで参加しました。(「いっぱい見て学び!」と快く許可してくれた上司にも感謝です)実際にオランアスリ(マレーシアの先住民)コミュニティの村に訪れ、そこで生活する人々に会い、UNDP Malaysiaの活動を肌で感じることができました。国連のコミュニティへの貢献・つながり”という、私が学びたいと感じていた場面を、自分の目で見ることができたことが特に印象に残っています。また、活動を通じてフィールドで実際にプロジェクトを始めるまでの準備期間の長さや大変さを知っていたので、プロジェクト終了間近で結果も出ている活動地域に訪れることはとても貴重で感動する経験でした。
私は、この活動を通して精神的にかなりタフになれたと感じています。インターンや国連ボランティアを含め、職員が50人以上いるUNDPカントリーオフィスの中で、私は唯一の大学生で最年少であり、周りと比べても経験や知識が圧倒的に足りていませんでした。ミーティングでの議事録作成といった基本的な業務でも、会話のスピード感についていけず焦燥感を感じることも多々ありました。しかし、いくつかの出来事が乗り越えるきっかけになりました。
まず、他人と必要以上に比べず、まだ自分の成長への旅は始まったばかりだと割り切ることです。他の同僚やスタッフは、私と数年から10年を超えるキャリアの差があります。そのため、経験値や能力が異なることは当たり前であり、ただ落ち込んでいるだけの時間がもったいないので、挑戦・努力をし続ける時間に切り替えました。そして、初めての一人暮らしや英語での業務遂行など慣れない環境で自分なりに努力をしている事実を褒めることも忘れずに行いました。また、上司と話をしていたときに、「さつきがいたからできた仕事もあるし、感謝している。(私の担当タスク)のクオリティも高いし、きちんと貢献できているから心配しないで。」と自分の成果について褒めてくださいました。その時に、自分の存在価値を見出すことができ、精神面でも能力面でも一段階強くなれました。
今、この投稿を読んでくださっている方は、どのような夢・人生の目標を持っているのでしょうか。国連ユースボランティアは、将来国連で働きたいという夢を持っている方にとっては、実際の活動の中で自分の力を試すことができる素晴らしい機会です。それだけではなく、自分のキャリアプランが明確ではない人・ふんわりと社会貢献に興味を持っている人にもおすすめできるプログラムだと私は思います。それは、活動の中で得られた知識、経験内容が貴重であることはもちろん前提として、UNDP Malaysiaでの活動で得た大きな財産が、“異なる文化・背景を持つ様々な面白い人たちと出逢えたこと”だからです。マレーシアは、元々マレー系・中華系・インド系・先住民等が生活する沢山の文化が入り混じる国です。それに加えて、UNDPには私を含め、様々な国からのインターン/国連ボランティアが在籍していました。国や文化の違いを知るだけでも大きな学びや喜びでしたが、さらにそれぞれが辿ってきた背景を聞いた時に、人生の選択肢の多さに驚きました。自分の人生は自分で切り開いていくものです。必ず、この経験が人生の大きな実りになると思います。