将来は国際協力のキャリアを志しており、学部生ながらも国連スタッフのと一緒に活動ができるこのプログラムにとても魅力を感じたからです。トップダウンの側面からの国際協力を学部生のうちに経験することで、今後のキャリア形成に活かすことができると思い、参加を決めました。昨年度別のボランティアプログラムにてベトナムに派遣されることになっていましたが、新型コロナウイルスのパンデミックで中止になってしまったこともあり、本プログラムにかける想いが一層強くなりました。
国際協力に興味を持ったのは中学生の頃で、途上国で屋外排泄によるコレラで苦しむ人々の動画を目にしたのがきっかけでした。それから保健衛生面で国際貢献したいと考えるようになりましたが、大学で学びを重ねるなかでコミュニティにおける教育や広報といった『コミュニケーション』にも興味を持つようになりました。 どのようなアプローチであれば人々の行動を変革することができるのか、国連という言わばトップダウンの情報発信とはどのようなものなのかを学びたいと思い、UNIC(国連広報センター)への派遣を希望しました。SNSでの発信やイベントの企画・運営、教育機関でのアウトリーチ活動等を行う広報のエキスパートであるUNICの業務内容が私にピッタリだと思いました。
活動中のどの一瞬を切り取っても私にとって大切で、選ぶことは本当に難しいのですが、UN Sustainable Development Cooperation Framework(UNSDCF)というザンビアの国家規模の枠組みの立ち上げセレモニーに参加したことが特に印象に残っています。UNSDCFは、2023年から2027年の間施行され、ザンビアの第8次国家開発計画(8NDP) に沿って4つの戦略的分野から諸課題を解決しようというものです。着任してすぐUNSDCFの運営チームに参加し、他の機関の同僚とミーティングを何度も重ねて準備しました。当日はチテンゲと呼ばれる布で作られたドレスを身につけ、会場の設営を行ったり写真撮影を行ったりしました。今後のザンビアの発展におけるターニングポイントに立ち会うことができ、とても貴重な経験となりました。
また、このセレモニーでは、私がデザインを任せていただいた5つの写真撮影パネルも設置していました。着任して初めて取り組んだ活動であり、試行錯誤を何度も繰り返した末に完成したものだったため、とても思い入れがありました。各国大使やその他ゲストにパネルを選んでもらい、写真を撮影しました。中でも、ザンビアの副大統領とUN Resident Coordinator(国連常駐調整官)がそのパネルを掲げて写真を撮ってくださったことが本当に嬉しかったです。
過去の先輩方と同様に自分でできるタスクを見つけて取り組んでいくことも勿論ありましたが、ありがたいことにたくさんの作業を任せていただき、短い締切の中で仕上げることに苦戦したことも多くありました。例えば同時に5つ以上のタスクを抱え、不安でいっぱいのときもありました。その際は、上司と各タスクの優先順位を確認したり、具体的な締切を相談したりしたことで、不安も解消されて一つひとつ着実にタスクを終わらせていくことができました。ただ、上司も忙しくなかなか話し合う時間がとれないことも多々ありました。その際は、メッセージやメール、緊急時は電話を活用したり、同僚に相談したりもしました。
また、業務内容について認識のズレが生じてしまったことも何度かありました。例えば、新プロジェクトのコンセプトノートを作成したときに、上司と私がそれぞれイメージしていたプロジェクトの構想が異なっており、ドラフトを提出した後に大きく修正したことがありました。このような認識のズレを繰り返さないために、業務を任せていただく際に詳細をしっかり確認することは勿論、サンプルや参考にすべき資料を共有していただいたり、ある程度完成する前に進捗確認をお願いしたりしました。業務を通して、自分から積極的に動くこと、そして『報・連・相』の重要性に気づかされました。
活動を通して、何事にも積極的に取り組むこと、妥協をしないことを心がけていました。例えば、上司からあるプロジェクトの話題が出ると、「〇〇の面でサポートさせていただけませんか」と尋ねたり、「〇〇のイベントをSNSで取り上げるのはどうでしょうか」とサンプルを作成して提案したりしたこともありました。 また、作業を進めるにあたっては、どんな些細なことでもアドバイスを求めたり確認をとったりしました。特に着任してすぐは、「今は忙しいかな」と気を遣って上司や同僚に話しかけられなかったり、提案してもすぐに却下されてしまうだろうと後ろ向きに考えてしまったりということもありました。しかし、たった5か月の派遣期間、悔いの残らないようにと、どんなことにも積極的に取り組もうと気持ちを切り替えました。