やはり一番の理由は、将来国連で働きたいと思っていたことです。私は幼い頃から、生まれた国や環境が異なるという理由だけで自由が奪われてしまう世界の現状に疑問を抱いており、将来は国連職員としてこの問題を解決したいと思っていました。そのため、このプログラムがあること、国連や国際協力について学べることが、関西学院大学を受験した理由でした。大学で現場経験豊富な先生方のもとで学んで行く中で、途上国開発に貢献したいという思いも、早く国連の活動や国際協力の現場を見てみたいという思いも強まりました。実際に過去の派遣生がその経験を話されている姿がとてもかっこよかったことも、高いモチベーションに繋がりました。
Junior Partnership Associateというポストを選んだ理由としては、民間企業のSDGs参画や国連と企業とのパートナーシップに興味があったためです。大学で国際協力について学んでいく中で、大きなインパクトや高い技術力を持ち、資金面で持続可能な援助ができる民間企業の重要性に気がつきました。将来的にもこの分野で働くことに興味があったので、実際に国連内部から、途上国における民間との連携状況や企業のSDGsへの取り組みを見てみたいと思いました。
職場の人たちが忙しい中でもとても協力的なことが、特に印象的でした。カンボジアにODA(政府開発援助)を行っている国の資料を作成する際に、各国が出資している国連のプロジェクトリストを入れたかったのですが、インターネット上にはそのような情報が見当たりませんでした。まずコミュニケーション担当のスタッフに相談したところ、一人のスタッフが国連全体のプロジェクトを管理していると教えてくれました。そのスタッフにお願いに行くと、すぐに資料を共有してくれ、資料の見方、ドナーごとのプロジェクトの探し方を丁寧に説明してくれました。とても忙しい中で、しかも年齢も立場も一番下の私に対して、ここまで協力的に動いてくれることがとても印象的でした。協力的に動いてもらえたこと、その結果よりニーズに添ったドナープロフィールを作成できたことがとても嬉しかったです。
もう一つ特に印象に残っているのは、リーダーシップダイアログという名前のチームミーティングです。これは年に一度、国連で働く上で大切にすべき価値観ついて話し合うものです。インクルーシブについて話し合った際に、複数のスタッフが、チームで最年少かつ外国人の私がチームに貢献していることや、良い関係を気づけていることを例にあげてくれました。普段から大好きな居心地の良いチームではあったものの、自分が本当に受け入れてもらえていると実感できたとても嬉しい瞬間でした。職場の方たちは、仕事ができるだけでなく、人としてもとても素敵な人ばかりだったので、その人たちの日々の行動の一つ一つから、自分の将来あるべき姿を学ぶことができました。
途上国で一人で生活することは初めての経験だったので、最初は戸惑うことばかりでした。カンボジアでは歩道も信号も整備されていないことが多く、その上スリにも気をつけなければならないので、外を歩くだけでも一苦労でした。アパートも、最初はコンロの火の付け方がわからず、シャワーのお湯も故障で出ず、ゴキブリもトカゲもたくさんの虫が出るので、5ヶ月間もやっていけるだろうかという感覚でした。ただ少しずつその困難に慣れていき、解決できるものは解決していくことで、ストレスが減っていきました。さらに、絶品すぎるマンゴーや、安くて便利なトゥクトゥク、手頃なマッサージなど、徐々にカンボジアの魅力を見つけていくことで、気付けは生活が心地良くなり、カンボジアを大好きになっていました。
私は4年時の派遣で大学院進学予定のため、日々の活動と卒論、院出願書類の準備を両立することにも苦労しました。慣れない環境での初めてのフルタイムの活動だったこともあり、帰宅後は疲れてしまい、なかなか思うように作業を進めることが出来ませんでした。そこで、それまでより1時間半早く起き、朝に取り組むようにしました。朝の頭が働く時間にしたことで、効率よく進めることができました。締め切りが迫っている時には、帰宅後にジムで少し運動をし、リフレッシュした後に作業に入るようにしました。結果的に規則正しい生活のリズムができ、大きく体調を崩すこともなく全てこなすことが出来ました。
私は4年時に参加しましたが、それでもオフィスでは圧倒的に最年少で、年齢を言う度に周りからとても驚かれました。学部生から国連で、しかも海外の事務所で活動することができるというのは、他にはない本当に貴重な経験です。大学生が国連で活動するというのは正直とてもハードルが高いことだとも思います。派遣前の私は、今の私に国連で何ができるのだろうと、とにかく不安でいっぱいでした。しかし、いざ活動が始まると、自分にもできることがあること、時には、アプリケーションを使って作業を効率的に進めたり、時間がある分作業をより丁寧にこなしたりと、「自分だからできること」もあることに気がつきました。派遣前は不安でしかなかった気持ちが、自分にも貢献できることがあるという自信と、いつかは上司のような仕事もこなせるようになりたいというモチベーションに変わりました。レベルの高い環境に置かれるからこそ、学ぶことも刺激もたくさんある貴重な5ヶ月間でした。
参加すること自体も難しく感じるかもしれませんが、参加のために今からできることはたくさんあります。大学にも、それをサポートしてくれるような授業・プログラムがあり、教職員の方々がいます。まずは情報を集めてやるべきことを明確にし、ひとつずつこなしていくことが大切だと思います。私が将来のキャリア実現のために行ってきたことが参加の準備につながったように、何か他の目的のために励んだ活動も準備の一つになるはずですし、また参加の準備のために培う経験やスキルもきっとこれから様々な場面で役立つはずです。