以前から、国際機関で働くこと、海外で働くことに関心があったので、学生のうちに国連機関で活動ができるこのプログラムにとても魅力を感じました。私は高校卒業後にアメリカの短期大学に進学し、在学中に、パンデミックが始まり、日本へ帰国することを決めました。日本からオンラインで授業を履修し、卒業後に、明治学院大学へ編入しました。コロナ禍で自分自身の進路について改めて考え、明治学院大学に編入後も、学生のうちに海外で活動ができるプログラムを探していました。そんな時、友人が履修していた授業で海外でのインターンシップが紹介されており、そこで国連ユースボランティアを知り、すぐに参加を決めました。その後ゼミの先生に相談してみると、このプログラムを本学の認定留学に取り入れた当時の担当の1人がその先生で、とても貴重な活動ができるプログラムであるにもかかわらず、学生の間ではまだ認知度が低いことを知りました。自分自身の成長のため、またこうした活動を学生に共有していくためにも、ぜひ参加したいと思いました。応募時点では、応募枠や派遣国に関しては公開されていませんでしたが、自分のスキルや英語力を試すチャンスになると思いモチベーションに繋がりました。
印象に残っていることは、ユースに分類される高校生、大学生と20代〜30代の若者で構成されるUNYAP(United Nations Youth Advisory Panel)と呼ばれるグループの活動です。このグループでは、国連事務所で毎週決まった時間に、環境問題などの社会課題の改善や、SDGsの達成に取り組む団体を紹介し、議論したりしていました。また、モンゴル国立大学では、Model UN国連総会を模倣して学生がそれぞれの国のトップとして主張し、議論するなどし、実践的に学ぶ機会がありました。このイベントに、モンゴル国連常駐調整官と共に出席したのですが、国連常駐調整官のスピーチや質問に対して英語で堂々とそれぞれの意見を主張する学生の姿が印象的でした。さらに、モンゴルの若者にボランティア活動の可能性をアピールするオンラインイベントでは、国連でのボランティアに興味を持っている方が多数おり、学生ボランティアの1人としてこのイベントに参加できたことをとても光栄に思いました。このようにモンゴルでは、若者が社会課題やより良いコミュニティの実現に関心を持ち、次世代を担う存在であるということを意識し、積極的に行動しているように感じました。
もう一つ印象に残っていることは、国連常駐調整官事務所の同僚の方が、学生ボランティアだからと区別することなく私の意見に耳を傾けてくれたことです。その点において、柔軟性と多様性が尊重される職場環境だったと思います。最初は、慣れないことも多く、学生の私に何ができるのか悩むことも多々ありましたが、そうした環境だったからこそ、学生の一人として、若者を代表する一人として私に何ができるのか考えながら挑戦することができました。そして、国連で活動しているということを意識しながら、自分自身と向き合い、自分のスキルや能力を試すことのできるとても貴重な体験となりました。
滞在期間が冬だったので、極寒の気候に順応することに苦労しました。常に寒く、11月頃からは毎日気温がマイナス10度以下でした。一番寒かった時期はマイナス30〜40度くらいまで気温が下がり、まつ毛も凍ってしまうほどで、外出することが億劫になることもしばしばありました。家の中は25度くらいで半袖でも過ごせる温度だったので快適でしたが、室内外の気温差が約50度もあり、体温調節が難しかったです。現地で、膝丈のダウンコートやモンゴル産のカシミアの服やマフラー、帽子を購入し、寒さに負けない着こなしができるようにして対応しました。また、少しでも体調に異変を感じたら無理をせず、休息を取るようにしていました。慣れない土地で体調を崩すことは、精神的にも辛いものがありましたが、自分の体調変化に以前より敏感になり、「健康第一」ということを身にしみて感じる経験となりました。
もう一つは、モンゴル語を話すことができなかったので、コミュニケーションに苦労しました。オフィスでも、業務は英語でしたが、日常会話や伝言はモンゴル語が話されており、肩身の狭い思いをすることもありました。同僚たちと距離を縮めたいと思っても、言語の面でなかなか会話に入れないなどや、年齢的にも一番年の近い方でも10歳は離れていたので、難しいことがありました。ですが、相手や相手の言語、文化等に興味を示したりすることで、業務以外のことでも少しずつではありますが会話ができるようになりました。また、徐々にモンゴル語の単語を覚え、最終的にはタクシーの運転手に家までの道のりなど行き先を伝えたり、料理の注文や挨拶など意思の疎通がなんとか取れるようになりました。
このプログラムは、学生でありながら派遣国の国連事務所で活動ができるとても貴重な機会です。海外で働いてみたい方、国際機関に関心がある方、自分の知識やスキルを活かしてみたい方、少しでもこの国連ユースボランティアに興味がある方にはぜひ挑戦していただきたいです。日本の大学で、この国連ユースボランティアの応募枠がある大学はとても限られているので、所属している大学が含まれているというだけでもとてもラッキーなことだと思います。ぜひ、チャンスを掴んでほしいです。
一方で、留学とは違い、国連機関で活動をするので、大変なことももちろんあると思います。しかし、苦労するからこそ学ぶことも大きいのではないかと感じます。実際、私は日本と同じアジア圏でも、未知の世界だったモンゴルで生活し、さまざまな面で苦労することはありましたが、そのおかげで自分自身と向き合うことができ、実際の生活からモンゴルについて知ることができ、とても貴重な経験となりました。たとえ自分の進路や将来に悩んでいるとしても、この国連ユースボランティアへ参加することで、新しい学びや新しい発見を得て、あなたの世界が広がるかもしれません。参加を考える方には、ぜひ自信を持ってチャレンジしてみてもらいたいです!