私がこのプログラムに応募した理由は、国際協力や国際開発の分野に強い関心を抱いており、現場での経験を通じて自分なりの貢献方法を模索することが、将来この分野で活躍するための重要な第一歩になると考えたからです。
私が初めて国際協力に関心を持ったのは、家族とともにフィリピンを訪れた際に目の当たりにした、裕福な地域と隣接するスラム街の圧倒的な格差でした。同じ国の中でこれほどまでに生活水準が異なるという現実に衝撃を受け、貧困問題の深刻さを実感しました。そして、この現実に対して自分も何かしらの形で貢献したいという思いが芽生え、国際協力に対する関心と意欲がさらに高まりました。
国際協力には多様なアプローチがありますが、私はその中でも国際社会において大きな影響力を持つ国連での活動に魅力を感じました。国連は、各国政府、NGO、民間企業などの多様なステークホルダーと連携しながら、包括的な枠組みのもとで持続可能な解決策を模索しています。このような組織の一員として活動することで、その組織構造や運営の実態を深く理解し、国際社会における役割をより明確に捉えられると考えました。
また、将来的にこの分野でキャリアを築くためにはどのようなスキルや経験が必要なのかを知りたいと考えていました。さらに、国連の活動を直接経験することで、自分自身がこの分野にどのように貢献できるのか、具体的なビジョンを形成する貴重な機会となると思いました。

Walk&Talk リトリート
このプログラムに挑戦する大きな自信を与えてくれたのは、一年間のアメリカ留学でした。語学力の向上はもちろんのこと、様々な国籍、価値感の人々との対話を通じて自分が何を大切にしているのか、何が得意で、どんな長所や短所を持っているのか等、自分を見つめ直す良い機会になりました。また、そのような人たちと長い時間を過ごすことで、異文化での生活スキルや、コミュニケーション能力が向上したと感じています。留学中には多くのエッセイやレポートを英語で作成する機会があり、その過程で英語のライティングスキルも大いに向上しました。これらの経験は、国際的な環境で、国連という多様な背景を持つ人々と共に活動するための重要な基盤となりました。
さらに、派遣先での活動をより有意義なものにするため、国連の活動内容や派遣国の政治・経済状況、歴史について事前に調べました。また、派遣国が直面している課題について、現地のニュース記事等を読み込むことで、最新の情勢を把握し、背景にある要因を理解するよう努めました。特に、現地の社会課題や国連の取り組みを深く理解することで、主体的に貢献できるよう準備を進めました。さらに、派遣国の文化や価値観を尊重しながら円滑なコミュニケーションを図るため、トルコ語や宗教的なルールについても学びました。

オフィスで朝食会
オフィスでの上司や同僚との会話に加え、他の国連機関で活躍する日本人国連職員の方々との交流を通じて、国際機関での働き方やキャリア形成について多くの示唆を得ることができました。さらに、オンラインのキャリアマネジメントワークショップや、イスタンブールで開催された国連機関に所属する若手職員やインターンが集まる交流イベントにも積極的に参加しました。異なるバックグラウンドを持つ方々と意見を交わす中で、多様なキャリアの可能性について深く考える貴重な機会となりました。こうした実際にこの分野で活躍されている方との対話を通じて強く印象に残ったのは、国際機関でのキャリアに明確な一本道があるわけではないということです。それぞれが自身の関心や経験をもとに、自らの道を切り開いていることが分かりました。特定のステップを踏めば確実に目指すポジションに到達できるわけではなく、むしろ現在の自分にできることに全力で取り組み、関心のある分野に挑戦し続けることが、結果的にキャリアを築く上で不可欠であると実感しました。こうした貴重な経験を通じて、実際に国連で働く方々の生の声を聞き、直接アドバイスをいただけたことは、自分自身のキャリア形成において非常に意義深いものでした。今回得た学びを今後のキャリア選択に活かし、自らの道を主体的に切り開いていきたいと考えています。
また、働く上での重要な要素として、コミュニケーションの大切さを実感しました。業務を遂行するうえで、多い日は一日に何十件ものメールやチャットを通じたやり取りが発生し、対面での会話も欠かせません。特に、多国籍の同僚と協力する環境では、言葉や文化の違いを乗り越え、相手の意図を正しく理解し、円滑に業務を進めるために、信頼関係の構築が不可欠であると強く感じました。私がこの派遣先のオフィスで最初に感じたのは、職場全体に漂うフレンドリーで温かい雰囲気でした。同僚同士の仲が良く、オフィスには常に和やかな談笑が響いていました。毎朝オフィスに到着すると、「Günaydın(トルコ語でおはよう)」や「Good morning」と挨拶が交わされ、「Nasılsın?(トルコ語で調子はどう?元気?)」「How are you?」と互いの様子を気遣うスモールトークが始まります。こうした日常的なやり取りが、職場の一体感を生み出していることを強く感じました。一日の中で、業務の進捗だけでなく、大変だったことや嬉しかったことを自然に共有できる環境がありました。このような職場文化の中で働くことで、単なる業務の遂行を超えて、同僚との信頼関係が業務の質や効率を高める重要な要素であることを学びました。
私が活動中に直面した課題の一つは、派遣先であるリージョナルオフィスの担当国の多さと、それらの国々に関する知識の不足でした。10カ国以上について情報を収集し、調査を行う必要がありました。
最初は、各国の位置や首都、民族構成といった基本的なデータの整理から着手しました。しかし、調査を進める中で、各国がそれぞれ地理的、歴史的、文化的、宗教的、そして経済的に異なる独自の背景を持っていることに気付きました。この発見は非常に興味深く、調査を行う中で各国への理解が深まり、さらに関心も高まっていきました。このプロセスを通じて、国際関係や政策に関する視野を広げることができ、私自身の成長にもつながる貴重な経験となりました。
また、業務を進める中で、上司からのフィードバックを受け取ることにより、自分の取り組みが正しい方向に進んでいるか、求められる成果に適合しているかを確認することができました。同時に、同僚には積極的に質問を行い、自分がつまずいた点や理解が不足している部分を解決する努力をしました。彼らの経験や視点から多くを学ぶことで、業務の質を向上させることができました。
国連に興味がある、国際協力や開発に関心があるなど、どんな動機でも、少しでも参加してみたいと思う気持ちがあれば、ぜひ勇気を出して一歩踏み出してみてください!私も最初は自分にできるか不安でしたが、実際に参加して本当に良かったと心から感じています。もちろん、挑戦には大変なこともありますが、「もっと経験を積んでから」「十分に学んでから」と思っていると、せっかくのチャンスを逃してしまうかもしれません。実際に挑戦しながら学ぶことで、成長は確実に実感できるはずです。この5か月間、私は机上の学びでは決して得られない実践的な経験を積むことができました。国連という組織や国際協力、開発の現場を知ることができ、より深く理解できたと感じています。また、コミュニケーション能力や多様な価値観を尊重する力など、多くのスキルも向上しました。それに加えて、私にとって何より貴重だったのは、様々なバックグラウンドを持つ人々とのつながりです。今でも連絡を取り合っている仲間や現地の友人との交流は、私にとってかけがえのない財産です。例えば、普通の大学生活では得られないような多様なネットワークを築くことができました。経験豊富な国連職員や、同世代の国際協力に携わる仲間、さらには現地のNGOスタッフなど、異なる立場の方々と直接触れ合い、その考え方や仕事への取り組み方を学ぶ機会が得られました。単にキャリアの話を聞くだけでなく、実際の業務に触れることで、国際機関で働く現実や課題を肌で感じることができたのは、本当に貴重な経験でした。その結果、漠然としていた将来のキャリアについてのイメージがより明確になり、どの方向に進むべきか具体的に考えられるようになりました。また、このプログラムを通じて、自分自身や日本をより客観的に捉えることができ、日々の会話を通じて価値観や思考の傾向を見直すことができました。自分の強みや良さを再認識すると同時に、それまで気づかなかった課題にも目を向けることができたことは、私にとって大きな成長でした。目標ややりたいこと、将来のビジョンはそれぞれ異なると思いますが、参加することで必ず多くの学びが得られます。この貴重な経験は、大学生活をより深いものにし、自分自身の成長を実感できる素晴らしい機会になると思います。
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《注》国連ユースボランティア派遣生のポジション名は、正式には「国連ユースボランティア」ではなく「国連大学生ボランティア」である。しかし、学内では「国連大学生ボランティア」という表記を使用していないため、国連ユースボランティア事業で派遣を行っている学生の事を「国連ユースボランティア派遣生」、他留学プログラムに合わせる形で国連ユースボランティア事業を「国連ユースボランティアプログラム」と表記する。
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リトリート全体集合写真